2019年3月:桜井市ぶらり

相棒が懇ろにしている珈琲豆屋さん。桜井駅から2.5kmほど、右手に三輪山などの連峰を眺めながらまっすぐに北進した辺りにあります。面白い主人さんで珈琲豆のことなら無限に話題が広がるみたいです。手作り感が溢れる煙突は、珈琲豆を炒る小屋に接続していて、近所の人たちに「ええ香りを提供しているんや」だそうです。

珈琲倶楽部さんからさらに北進するとY字に交わる国道に挟まれた敷地に、盛り上げたような丘というか、古墳が見えてきました。googleマップに「豊慶大神」と載っていたのを見て、寄り道してみたいと思っていました。近づいてみると、あれれ?周りの田畑にブルーシートを被せた不思議な穴が3,4箇所ありました。発掘調査の最中なのでしょう。古墳そのものではなく、周辺を発掘しているんですね。桜井市埋蔵文化が担当していると思われるので、今後の発表が楽しみです。

上がっていくと鳥居の両側に佇むキツネが出迎えてくれます。稲荷山古墳と呼ばれるこの丘には、赤い祠の稲荷社と「伏見稲荷大(神?)」と彫られた白い岩が建っています。古墳の上に神社が建っているのはありがちです。御霊神社があるくらいなので、古墳とする伝承があって御霊を鎮めるためにかなりの後世に神社を建てたのかもしれません。
ちなみに、真ん中の岩には「元才?神事 光天豊慶大神 明治廿?(?)年正月一日建」とあり、稲荷社とは別物の石碑で、神社の境内に庚申塔だったり鎮霊碑だったり色々建立するのをよく見るのと同様に、その地域で習慣として執り行われていた神事があり、その信仰対象としての石碑を稲荷社の境内に建立したのではないかと思うのです。(もしかすると、道路拡張などに伴う移転もあるかもしれない)
この石碑が一番興味をそそられました。下写真をクリックすると大きな石碑の画像が見れます。

さらに北へと歩いて行き、昼ご飯はここでと決めてあった「フレール」に入りました。喫茶店のようにも見えますがれっきとした洋食屋です。広々とした店内でのんびりとくつろげます。自家栽培のお米がご自慢で、粒が小さいけれどそれがかえってシャリシャリ感を生み出している感じなのです。おいしくて、お代わりしてしまいました。もう少しオカズが欲しかったなぁ。このお店は、煙草OKなので苦手な人には厳しいかもしれません。

昼食後、三輪山を背に、西の巻向駅に向かって帰途につきます。その途中でJAならけん纏向支店の敷地内に、「柿本人麿公屋敷跡」の石碑が建っているのを見つけました。誰が建てたのだろうと思い、石碑をぐるりと廻り文字を確認したところ「大兵主神社宮司 中由雄」とありました。中由雄氏について少しネットで調べてみたところ、古老として研究者に情報提供をしていたり、巻向山に「桧原都谷聖跡 三種神器奉祀跡 」という木碑を建てたり(これについてはとある宗教団体が記事にしており他に情報記載が見られないので断言は難しいところだろう)していて、歴史に関わる活動をしていたことが伺えます。

JAならけん纏向支店が面している上ツ道に沿って巻向駅に向かいます。「歴史街道」の案内碑の足元には何かに使われたであろう石材が転がっています。いい雰囲気だしてます。

人姿もまばらな界隈なのですが、巻向駅はこんなに長いホームを持っています。これでも無人駅で単線です。なぜこんなにホームが長いのか。駅の向かいには有名な巻向遺跡と畑が広がり、男性が野良道具を担いで住宅地から遮断機のない線路を渡って行きました。のどかです。