2019年6月:桜井市ぶらり

桜井市で買いたい商品が溜まってきたので、意を決し相棒と二人でリュックをおぶって行くことにした。ちょっとした小旅行なら十分に足りるだろうというくらいの大きなリュックである。

あまり降りることのない桜井駅南口から歩いてすぐの所にペンション「サンチェリー」がある。ここでパンを買って朝ごはんにしようという計画であった。わざわざここへ買いに来たのにも理由があり、こちらのご主人が大和における辰砂について本を書いている事をホームページで知り、お店へ訪問して雰囲気を見てみたいとずっと思っていたからなのだった。残念ながらご主人は不在で奥様が忙しそうにしていた。奥様はというとお料理が得意で、パン焼きと酵素ジュースを売りにしていた。
確かに自慢のパンはとてもおいしかった。カシ家でいつも焼くパンと違って、ふわっとしたタイプのパンなのだが噛み切る時のサクッとした感触がおいしく感じさせてくれる。お行儀が悪いことは承知の上で、パンを頬張りながら次の目的地へと向かう。なにしろ10時前に桜井駅に到着はしているものの、スケジュールが押し迫っているのだ。これから駅の反対の北側へと歩みを進めなければならないのだ。

次の目的地は、カシ男お気に入りの珈琲屋である。カシ男が店主とおしゃべりが始まれば1時間はかかる事を覚悟しなければならないのだ。当事者同士は楽しそうなので構わないのだが、これが10時桜井到着でも時間を心配する理由になる。

その珈琲屋に向かう途中の国道の交差点にて、驚かされる光景にでくわした。それが下写真である。「ザ・スタミナラーメン」は去年の10月くらいまでは「天理ラーメン」としてやっていたはずなのである。
県外人のために説明しよう。天理ラーメンとは奈良県人がソウルフードとする3大ラーメンの1つで、関西圏しか出店してない。
出店の1つだったはずなのに、いつのまにか天理ラーメンと決別していたのか。確かに、この店舗は天理ラーメンとは一線を画するラーメンを提供していたと記憶する。「これが天理ラーメンなのか?店舗によって随分と個性があるんやな!」と首をかしげたものだった。

さて、珈琲店こと「珈琲倶楽部」については2019/03/02の記事にてご参照いただきたい。店構えが個性的でなかなか面白いので、珈琲好きで、なおかつ雑談に華を咲かせる余裕がある人にはお勧めできるのではないかと。
そして、いつもよりやや早めに雑談を切り上げた(切り上げさせられた?)相棒は、名残惜しそうであった。

よし。次の目的地は鰹節屋だ。いつもは珈琲倶楽部から国道沿いにまっすぐに15分くらい北へ歩いた所の鰹節屋(朝日屋)で購入しているのだが、今回は桜井駅にいったん戻り、さらに西方面へ15分ほど歩いたところにある鰹節屋へと向かう。もちろん、初入店である。
家族経営のめっちゃ親切そうなお店だった。今まで行っていたお店とは対極のタイプで、好みとしてはこの店である。恐らく多くの飲食店とも取引があるのだろう、衣装ダンスくらいのでかい箱1つ1つにさまざまな鰹節が入っている。ボウルで袋にガバッと移しては売るという光景なんだろうな、と思うと微笑ましく思った。
そんな中で、粗削りタイプの鰹節を購入、潰れないようにビニール袋に空気を膨らませてくれたのだが、それをリュックに入れたら二人ともリュックはパンパンになってしまった(笑)

再度、駅に戻り、駅前にある「マジック×マレット」でランチ。ランチセットではなく飲み物を載せる。私自身、果実酒を作っていることもあり、去年の暑い夏に訪れた時には、果実サワー+炭酸水でとてつもなくキリッとした味に仕上げた飲み物が気に入ってしまい、それ以来わたしも果実酒を飲む時は酢を足している。今回は柚+蜂蜜+お茶という組み合わせを頂いた。面白い組み合せ、だけどお茶の味もしっかりしてておいしかった。ちなみに、手前は相棒の「オーガニックコーヒー」。

お腹を満たし、今度は駅の西から東へひたすら歩いていく。お目当ては、木材振興センター「あるぼ〜る」内にある「サンフォン」というお店が売っているオリーブオイルである。女性が一人で店番をしているのだが(というか店主?)、商品のことを訪ねると色々教えてくれるので、恐らく、バイヤーもやっているのだろう。不思議なのは、直営店で買うのとあまり値段が変わらないように思うのに、一体どこで利益を生み出しているのか?ということである。常に不思議に思っている。

色々な商品が置いてあるが、特にオリーブオイルが得意で、色々試飲させてくれるのが魅力的。本日はオリーブオイルと、味醂(小笠原製造)を購入した。

去年の9月に来た時は下のオリーブオイルを購入したのだが、未完熟の青臭いトマトに似た味わいがありとてもおいしかった。とりわけ、塩とまぜたのをパンに付けて食べるとオリーブオイルのクセも楽しめて良かった。これはシリーズ物になっているので違うタイプの購入も考えていたのに、色々と試飲を勧められているうちに当初思っていたのと全然違うオリーブオイルを購入してしまった。

なぜか今回は「苦味がきつい」オリーブオイルの試飲が多く、その中でも舐めやすくお手頃価格だったのが右の瓶である。クセのあるオリーブオイルを求めていたのに、使途が幅広そうだなと思いクセのないオリーブオイルを買ってしまった(ちなみに一番クセがなかったのが、黄色いラベルが印象的なルセロ・アスコラーノ)。
左の「あかつき」は香川県産とのことで「お〜小豆島の!」と思いきや「三豊市」だったのだ。店主さん曰く「青いバナナのようなフルーティさが特徴」とのことで、今度じっくり舐めてみよう。青いバナナなんて食べた事はないが、興味があるのでこちらも購入してみた。

そこから方向転換し桜井市立図書館を目指して、近鉄線を越えて南側へ向かう。大阪に住んでいた時から何度も何度も通っている桜井市なのに、1度も足を踏み入れたことのない地域だ。図書館が建つ地域なだけのことはある、住宅地や商店街など生活の匂いが漂っていた。
談山神社にどれくらいの荘園がどんな所にあったのか、比叡山延暦寺との関係はどんなであったか等を調べている時に、「桜井町史・続」という古い本に詳述されていることを知り、見てみたいと思ったのである。後日、ネットオークションで落札することになるとは夢にも思わず、疲れと眠気と戦いながらじっくりと立ち読みをしたのだった。

午後から雨が降る予報を鵜呑みし、朝から邪魔な傘を二本持ち歩きつつ午後になっても快晴の空を恨めし気に眺めたのだったが、夕方になって激しい雨に見舞われた。ようやく傘が役に立って良かったという締めくくりとなった。